













インフルエンザの流行期を迎えるにあたり、当院ではお子様とご家族が安心して診療を受けられるよう、最新の医療指針に基づいた正確な情報発信を行っております。今回は「抗原検査を受ける適切なタイミング」と「抗インフルエンザ薬(特にゾフルーザ)の特徴と推奨」について分かりやすく解説いたします。
1.迅速抗原検査について
クリニックで広く行われている「迅速抗原検査」は、鼻の奥を綿棒でぬぐい、ウイルス抗原の有無を判定する簡便で優れた検査です。しかし、検査を受けるタイミングには注意が必要です。
発症早期での「偽陰性」にご注意ください
発症直後(熱が上がり始めてから数時間以内など)は、体内でのウイルス増殖量がまだ少なく、実際にはインフルエンザに感染していても検査で「陰性」と判定されてしまうこと(偽陰性)が少なくありません。
保険診療における検査回数の制限
公的保険診療において、インフルエンザ抗原検査は同月内に検査できる回数が定められています。
同一次元・流行期で何度も短期間に再検査を行うことは保険適用上認められない場合があるため、適切なタイミングでの検査が重要となります。
2.治療薬ゾフルーザ®(バロキサビル マルボキシル)について2)
ゾフルーザ®は1回の経口服用で高いウイルス抑制効果を発揮する薬剤ですが、小児における耐性変異ウイルスの出現や排泄期間の観点から、年齢やインフルエンザの型(A型・B型)によって日本小児科学会より詳細な推奨が示されています。
【年齢別の詳細な考え方】
① 5歳以下の小児(乳幼児)
5歳以下の小児においてA型インフルエンザにゾフルーザを使用した場合、耐性変異(低感受性変異)を有するウイルスの排泄が遷延(長引く)する可能性があるため、積極的な使用を推奨されていません。(原則としてオセルタミビル等の他剤が優先されます)
ただし、B型インフルエンザウイルス感染例については考慮されます。
② 6歳から11歳の小児
③ 12歳以上の小児
12歳以上の小児・思春期のインフルエンザに対しては、他剤(オセルタミビル、ラニナミビル、ザナミビル等)と同様に使用を推奨されます。特にB型インフルエンザに対しては他剤よりも優位であるとされています。
当院からのアドバイス
抗インフルエンザ薬には、飲み薬(オセルタミビル、バロキサビル マルボキシル)、吸入薬(ラニナミビル、ザナミビル)、点滴薬(ペラミビル)など様々な種類があります。
当院では、お子様の年齢、体重、服薬・吸入の可否、およびインフルエンザの型に合わせて最適な治療薬をご提案いたします。
発熱初期の抗原検査施行タイミングや服薬に関する疑問・不安がございましたら、お気軽に当院スタッフまでご相談ください。
【参考文献・資料】
1.Tanei M, et al. Factors influencing the diagnostic accuracy of the rapid influenza antigen detection test (RIADT): a cross-sectional study. BMJ Open 2014;4:e003885.
2.日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「2025/26 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」(2025年10月7日)